ここんところちっともいいニュースのない現Les Bleus(フランス代表)であるだけに、フランスサッカーファンの心は98年当時に戻ることでしか慰められない感がある。土曜の夜にStade de Franceで行われた世界選抜vs98年当時のLes Bleusメンバーによるエキシビジョンマッチの結果は3-3のmatch nul(引き分け試合)。
試合結果はともかくフランスサッカー界にただよう暗雲を象徴するような少年の事故死。Lyon(リヨン)とSaint-Etienne(サンテチエンヌ)から会場に向かう途中、子供たちをのせたバスが起こした死亡事故の犠牲者はくしくもフランス栄光の年に生まれた少年だった。
当時の代表監督でもあったAimé Jacquet(エメ・ジャケ)はcoup d'envoi(キックオフ)前にこの試合を犠牲者たちとその家族に捧げる。「La Marseillaise」(フランス国歌)を歌えないというレッテルを貼られた移民の子たちをスターにしたてあげ、フランス国民と移民を一つにした歓喜の夜から10年。移民たちの辿っている運命もまた厳しい。
"Ce qu'on voulait c'était surtout de repartir avec au moins un match nul, 3-3 c'était bien déjà. On remercie les gens qui sont venus. Voir 80.000 personnes ! Le problème c'est qu'on était un peu fatigué. La technique, cela ne se perd pas, mais quand tu perds le physique c'est quand même beaucoup..."
(メンバーが望んでいたのは最低でも引き分けでの再スタートだった。3-3というスコアにはそれだけでも満足だ。足を運んでくださった方たちにはメンバー一同感謝している。80000人もの観客!問題はみんな少しばかり疲労していたことだ。テクニックは衰えていなかった、だが身体能力の低下はやはり大きい...)
FFFサイト2008年7月13日の記事より上記は試合後のZinedine Zidane のコメント。やはり10年という月日は長い。フランスという国と移民との関わり、Les Bleusのその後を語っているように感じられる。著作『La Mélancolie de Zidane』(『ジダンの憂鬱』)の中で、ドイツワールドカップで受けたZidaneのレッドカードをCarton noir(黒いカード)として表したJean-Philippe Toussaintの世界観がなんとなくフランスの暗雲として私の中で広がっていく...。
posted by Mikiko at 19:56|
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